一行詩﹁颱﹂
﹁
押してんねんけど、
このドア重たいわ。
﹂
三月の北風 ふわりと浮かび影も無くなる
触れるものは何もない 空に溶ける
﹁
なんで、
そないに汚れが気になるのん?
﹂
ゆれながら立
っ
ていた。
﹁
そんなん最初からわかっ
てた。
﹂
妻は笑うまず座り湯気を吸い込んで酒をすする
﹁
お疲れさんでした。
﹂
満月をのぞく平成六年四月十五日発行
﹁
颱﹂
№303