一行詩「颱」
ジャンケンを繰り返す。海沿いの町で生まれた。それは。
行き過ぎるたび。眠らない。指を鳴らす。
「そんでもなぁー、」(泣かへんぞ。)「違うねん。」
それが、たとえば死なない光だとしても、これから
けれど逃げ場のないたまごの中身達
半透明のガスの炎、おでんの湯気。輪廻について考えていた。
貝殻の首飾り。笑う。ゆれる。娘。五歳。
ひとつ見つけた。言葉はいらない。
そこにある。ごく普通に愛している。
平成五年十一月十五日発行「颱」№298