一行詩「颱」
全ては見つめることから始まる この嘘も
明日の事など考えるなと微笑むのは神様だけじゃない
メンツという化け物が人間を餌にする
丹念に一つ一つの雨粒を磨く
選び出す言葉はそのつど海に捨てる
必死だという嘘だけはつかないでくれ
舌の根も乾かしている暇などはない
傘だってさす 折り合って暮らしているさ
上手な嘘 心地よい枕 ゆっくりと眠れ
(平成五年七月十五日発行 №294)