一行詩「颱」
支度、ザラザラと今日の僕に変身していく
見当違いの激励には慣れている 靴を履く時間
「おはようございます。轍もつかない世間ですね。」
目の前で動き続けている唇 真っ白な時間
こんな顔は嫌いだと言う九官鳥になってしまった
つい振ってしまった尻尾の後始末 泥縄のもやい結びだ
彷徨えない 年月は過ぎて行く
此処が始まり 此処が全て 僕の螺旋
今日も詰められている後ろへの情熱を
それでも生きて行く それぞれの音とリズムと
平成五年五月十五日発行「颱」№292