一行詩「颱」
十五歳 軽い痛みが続いていた
すぐ傍にいた。キズでもつけなきゃ引っ掛かりもなかった
争うか逃げ出すか ただそれだけだった
鉄の軋み合う音、鉄の焼ける匂い 十五歳の嗚咽
真夜中の妄想にチャンネルを合わせたセクスアリス
それでも時々は青空だって散歩したさ
そして一日分の嘘をつきおえる 雨垂れの音
平成五年四月十五日発行「颱」№291