一行詩「颱」
また同じ場所で道標を気にしている
いくら飲んでも癒えない喉だ
僕は人間を薄めてしまう水を飲んでいる
浮わついたままの秒針が動き続ける
鏡の部屋で言葉をさがす
冗談じゃないぜ、こんな場所でも輝いていやがる
道標など知らない 生まれたまんまが駆けて行く
平成四年十一月十五日発行「颱」№286