一行詩「颱」
小さな娘が僕を駆け上がる 女房は台所
一人で居る時間を問う 子供たちの笑顔が
狼にも羊にもなれない僕はお父さん
居るだけで良いと言う季節も過ぎた微笑みは問わない
平穏の立ち姿 女房の煙草の煙
安心=鍵 秒針も数えている
脳みそに白がひろがって行く 止まらないこの舌
トンネルのど真ん中で胡坐 どっちが入口、どっちが出口だ!
平成四年九月十五日発行「颱」№284