一行詩「颱」
何でも出来ると何も出来ないは同じことかもしれない
ピカソが笑う

クレーが鼻先に提灯をぶら下げてくれた

真夜中の音のないダンス シャガールと踊る

視線は蜘蛛の糸ムンクがからまり僕もからまる

ユトリロの街角に立つ 午後の紅茶

渦を巻いてゴッホに堕ちていく

見つめられて見つめ返す ルオーは真正面
平成四年八月十五日発行「颱」№283