一行詩「颱」
「斯くあるべき」という鎖 安心して吠え立てている
争えば腹がへる のら犬の頬づえ
ベッタリと地面にくっついて眠る
目覚めた時に、ふと飼い主が欲しくなる
雲は行き違う 足元の土を苛める
何処へ行こうか まだ歩けるのら犬なのさ
獣の臭いのする髪を指で梳く
平成四年三月十五日発行「颱」№278