一行詩「颱」
平均台の上で舌が止まらない
文句ほどの実りもなくのびた爪を切っている
蹴飛ばした石の行き先をたしかめずには居られない
取って着けて塗りたくった痛みおおげさに見つめている
すぐに媚びたがる舌 干しても乾かしても
言いわけが描いた絵 背骨の空洞ひろがる
答が・・・ 生まれ変われるなら! 出せない
長靴の中に水 ヤケクソでグワッパと歩く
平成三年六月十五日発行「颱」№269