一行詩「颱」
明り消してからの夜が長い
ボタンかけちがえた指がそのまま暮らしている
笑顔にホッとする情けないハラワタ
鉛筆の芯まるくなる くり返しの後悔
「キレイゴト」片づけて行く 春のしかばね
煙草からっぽ 片足を高くあげ放り投げる
てのひらの上で海がよごれて行く
平成三年五月十五日発行「颱」№268