一行詩「颱」
鬼の角と天使のつばさ悪魔の尻尾に母の胸
一人で居られる時間短く痛む足
鏡をのぞくたび馬鹿が殖えてる
つまらない つまらない うたた寝の妻を突っつく
足を引きずって痛いご飯たいてくれる
父の理不尽また一つ見つけて息子六歳
昨日のトゲを抜きあっている 小春日和
羽根はあるのに鳥になれない
髪をひとつに束ねて妻走り出す
平成三年二月十五日発行「颱」№265