一行詩「颱」
間違いもなしに朝が来た 眉間の皺のばす

小指に羽根がはえた せめてお前だけは飛んでゆけ

陽のあたらない四畳半 狂いきれない時計を止めた

取り戻せない時間たち 
        うなじから背中まで唇で思い出なぞる

目をとじたまま となりの君を指が感じる
平成二年七月十五日発行 「颱」№258