フリ
 
 

 
浮かんでは消える
さまざまなフレ
ズを時
牛のようにぼんやりと
反芻しているうちに
秋にな
ていました
 
 
 
 
フリ
句7
 
秋へ
 
 
ふと見上げた空にはうろこ雲
 
我に返るたびに秋を感じる
 
 
すこし疲れている
 
すこし急いでいる
 
見たくないこと聞きたくないこと言いたくないこと
 
 
誰もいないことを確かめてから膝を抱く
 
声が涸れた
 
秋風を吸う
 
 
 
 
 
考えてばかりいると
風船のようにどんどん自分がふく らんで行くよ
うな気がします
ふく らみ過ぎると
いつか爆発するかもしれない
れで時
ガス抜きが必要になります
そんなわけで
今僕は指先からガ
スを抜いているわけだけれど
何だか一度爆発してみても良いかななど
と思
たりもしています
 
 
 
 
フリ
句8
 
中身
 
 
遠くの日
の中の中身にある
 
口の中にこも
た中身
 
口い
ぱいにほうば
たはずの中身
 
 
 
 
単純な簡単な中身
 
複雑な道のはての中身
 
新し く も古く もない中身
 
心と気と宇宙と中身
 
中身
 
なかんずく中身
 
中身
 
いずくんぞ中身
 
私の外側の私の中身
 
たい何の中身なのかな
の中の中身
 
ハレハタハナハキの中身
 
中身の中の中身の中の中身
 
 
 
 
 
物理的な時間は誰にでも公平に過ぎて行く
だけど
僕たちがふだん
感じている
時間
人それぞれで随分と違
ているような気がしま
それは
人の
時間
がその人の呼吸とか鼓動とかに左右されてい
るからかもしれない
なんて思
たりしています
と僕の
時間
も僕の呼吸
僕の鼓動なんだと思
ています
 
 
 
 
フリ
句9
 
カレンダ
 
 
日めく りめく りめくるめくるめく巡る
 
嘘ほんと嘘
 
ほんとの嘘
 
嘘なのに本当
 
それでも
目の離せない箱の中身だ
 
とはいえ
俺がどれほどかしこいのか
 
 
朝起きて朝飯
働いて昼飯
働いて晩飯
 
こけて起き上がるまでの空間にまた僕が居る
 
小さ く笑う
 
妻がちいさ く頷く
 
に歳を喰
ている
 
妻が少年の肩を愛でている
 
息子十一歳
 
少しずつ少女にな
て行くまるい目を抱き上げる
 
拗ねる笑うはし
ぐ泣く
 
子供達
私の子供達
 
お前たちの未来はち
とだけ父さんのもの
 
それはそれとして
今は飯を喰
ている
 
 
 
 
 
書きかけては何となく気分がのらず
書きかけてはどことなく気に入
らず
そんな事をしているうちに十月も半ばにな
てしまいました
フリ
は毎月出すと決めていたわけでもないし
忘れられた
頃にまた届いたほうがインパクトがある
などと訳の分からぬ言い訳を
自分自身にしております
 
敬白
 
 
 
平成七年
 
十月
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
榮井